下半期の組織づくりは、10月に始めた時点でもう遅い|8月のうちに決めておく3つのこと
10月1日、下半期のキックオフで新体制が発表される。方針が示され、担当が変わり、全員が拍手して解散する。ところが11月になっても現場の動きは上半期のままで、12月には「結局あれは何だったのか」という空気が漂う。毎年これを繰り返している会社と、そうでない会社の差は、10月ではなく8月の過ごし方にあった。
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10月1日に発表された体制は、その時点ですでに動き始めているか、一年動かないかのどちらかです。
キックオフで方針が示され、担当が変わり、全員が拍手して解散する。ところが11月になっても現場の動きは上半期のままで、12月には「結局あれは何だったのか」という空気が漂う。
毎年これを繰り返している会社と、そうでない会社があります。差がついているのは10月の進め方ではなく、その二か月前に何を終えていたかです。
10月に発表される体制が動かない理由
発表された方針が現場の行動に変わるまでには、いくつかの工程が挟まります。
方針を聞く。自分の担当にどう関係するかを理解する。今やっている仕事のどれを止め、どれを続けるかを決める。関係する相手と調整する。そこまで進んで、はじめて行動が変わります。
10月1日に発表すると、この工程が10月中に走ることになります。ところが10月は、上半期の締めが残っている月です。数字の確定、顧客への報告、評価面談。既存業務が最も重い時期に、新しい体制の解釈と調整を並行させることになります。
このとき何が起きるか。既存業務が優先されます。当然の判断です。締めには期限があり、新体制の解釈には期限がないからです。
そして11月に入ると、新体制は「先月発表されたもの」になります。緊急性がないまま一か月が経過した項目は、そのまま日常に埋没します。反対されたわけでも否決されたわけでもなく、単に着手されないまま次の話題が来ます。
これが「毎年うまくいかない」の実態です。方針の質の問題ではなく、発表の時期と既存業務の負荷が重なっているという配置の問題です。
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8月のうちに決めておく3つのこと
前倒しするといっても、方針そのものを早く決める必要はありません。決めておくべきなのは、方針を受け取る側の準備です。三つあります。
1. 誰の担当が変わるかを、本人に先に伝える
体制変更で最も時間を食うのは、本人の心の準備と引き継ぎです。10月1日に初めて知らされると、そこから引き継ぎ先を探し、日程を調整し、業務を渡すことになります。
8月の時点で「10月からこう変わる可能性がある」と伝えておけば、本人が9月のあいだに準備できます。確定していなくても構いません。可能性として共有されているだけで、準備は始まります。
ここで多くの組織が躊躇するのは、確定前に伝えると混乱するのではないかという懸念です。しかし実際には、確定してから伝えるほうが混乱します。準備の時間がゼロになるからです。
2. 何をやめるかを決める
新しい方針には、たいてい新しい活動が伴います。一方で、既存の活動が減ることは滅多にありません。結果として、下半期は上半期より業務量が増えます。
増えた分は、どこかで吸収されます。吸収先は多くの場合、個人の残業か、優先度の低い業務の放置です。どちらも意図された配分ではありません。
だから、新しいことを足す前に、やめることを決める必要があります。これは8月にやるのが適しています。上半期の途中経過が見えていて、かつ締めの忙しさが来ていないからです。10月に「何をやめるか」を議論する余裕はありません。
やめる候補の見つけ方は単純です。上半期に着手されなかった項目を並べます。着手されなかったものは、優先度が低いか、実行不能かのどちらかです。どちらにせよ、下半期も同じ結果になります。
3. 判断がぶつかる場面を、3つだけ決めておく
新方針と既存業務は、必ずどこかでぶつかります。ぶつかったときにどちらを取るかが決まっていないと、その場の力関係で決まります。
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すべてを事前に決める必要はありません。よくぶつかる三つで十分です。新規開拓と既存フォロー、品質と納期、全社方針と部門目標。自社で頻度の高い組み合わせを三つ挙げ、優先順を決めます。
この作業を10月にやると、実例が出てから慌てて決めることになり、その決定は「あの案件のための特例」として理解されます。8月に抽象的な状態で決めておくと、原則として機能します。
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9月に確認すること
8月に三つを終えたら、9月は確認に使います。
一つは、伝えた内容が本人にどう理解されたかです。 「10月からこう変わるかもしれない」と伝えたことが、どう受け取られたか。歓迎されているのか、不安なのか、あるいは何とも思っていないのか。ここで反応を見ておくと、10月の進み方が変わります。
もう一つは、やめると決めたことが実際に止まっているかです。 やめる決定は、決めただけでは実行されません。担当者は「一応やっておいたほうが」と続けることがあります。9月に確認して、止まっていなければ止める。
この二つは、いずれも10月には確認できません。10月は締めの月だからです。
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「まだ早い」と感じる時期にやる意味
8月に下半期の話をすると、たいてい「まだ早い」と言われます。実際、上半期の結果は出ていませんし、状況も変わるかもしれません。
しかし、ここで決めるのは方針ではなく準備です。誰の担当が変わりうるか、何をやめるか、何と何がぶつかるか。これらは上半期の結果が確定しなくても決められます。
そして「早すぎる」と感じる時期は、現場に余力がある時期でもあります。余力がある時期にしか、準備はできません。余力がなくなってから準備を始めると、準備そのものが後回しになります。
毎年10月に同じことを繰り返している組織は、毎年10月に準備を始めています。始める時期が同じなので、結果も同じになります。
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まとめ
10月に発表された体制が動かないのは、方針の質ではなく配置の問題です。10月は上半期の締めが重なる月であり、新しい体制の解釈と調整に使える余力がありません。緊急性のない項目は、一か月放置された時点で日常に埋没します。
8月のうちに決めておくべきなのは、方針そのものではなく、受け取る側の準備です。誰の担当が変わりうるかを本人に伝える。何をやめるかを決める。判断がぶつかる場面を三つだけ決めておく。
9月は確認に使います。伝えた内容がどう理解されたか、やめると決めたことが実際に止まっているか。この二つは10月には確認できません。
「まだ早い」と感じる時期は、余力がある時期です。余力がある時期にしか、準備はできません。
よくある質問
Q. 上半期の結果が出る前に、下半期の準備をして意味がありますか?
A. 決めるのは方針ではなく準備です。担当変更の可能性、やめる業務、優先順位の衝突は、結果が確定しなくても決められます。方針そのものは結果が出てから決めて構いません。
Q. 担当変更を確定前に伝えると、混乱しませんか?
A. 確定前に「可能性がある」と伝えるほうが、確定後に突然伝えるより混乱は小さくなります。準備の時間が確保できるためです。確定していないことを明示したうえで共有してください。
Q. やめる業務を決めても、現場が続けてしまいます。
A. 決定だけでは止まらないため、9月に確認する工程が必要です。止まっていなければ改めて止めます。確認を挟まない決定は、実行されないと考えたほうが実態に合います。
Q. 優先順位を3つだけ決めるのは、少なすぎませんか?
A. 数を増やすと、決めること自体が目的化して運用されなくなります。頻度の高い3つに絞るほうが、実際に参照されます。不足すれば翌期に追加してください。
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