
6人の部下のうち、一人だけ年上だ。仕事は任せているし、細かいことは言わない。経験のある人にあれこれ指示するのは失礼だと思っている。本人も特に不満は言わない。うまくやれている、と思っていた。その状態が何年続いているかを数えたとき、上司が気づいていないことが一つある。
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6人の部下のうち、一人だけ年上だ。仕事は任せているし、細かいことは言わない。経験のある人にあれこれ指示するのは失礼だと思っている。本人も特に不満は言わない。うまくやれている、と思っていた。その状態が何年続いているかを数えたとき、上司が気づいていないことが一つある。

自分の提案に、誰も反対しなかった。全員が頷き、会議は予定より早く終わる。いい会議だったと思っていた。ところが実行に入ってから、部下の一人が「あれ、無理だと思ってました」と漏らす。1950年代、ある科学者は自分の説を壊す相手をあえて隣に置き、25年かかる戦いに勝ちました。

次期リーダーにと考えていた若手に打診したら、「今のままでいいです」と返ってきた。給与は上がるし、評価もしている。理由を尋ねても、はっきりした答えは返らない。押し切るのも違う気がして、その場は引き下がった。その若手が毎日見ていたのは、打診した本人が何時に帰り、誰の板挟みになっているかだった。

退職面談は、驚くほど率直に進むことがある。半年前から感じていたこと、言えなかったこと、変えてほしかったこと。聞きながら課長は思う。なぜこれを、もっと早く言ってくれなかったのか。だが順序が逆だった。早く言わなかったから辞めるのではなく、辞めると決めたから言えるようになっただけだった。

面談シートを開き、課長は場をやわらげるつもりで「まあ、そんなに固くならずに」と切り出した。部下は笑って頷き、そのあと45分間、当たり障りのない受け答えだけが続いた。準備した質問は全部使ったのに、何も引き出せていない。原因は質問の中身ではなく、その手前で部下がこの面談の性質を判定し終えていたことにあった。

離職率も残業時間も、先月と変わっていない。数字の上では何も起きていない。それでも現場を歩くと、以前と違う言い回しが増えていることに気づく。「一応」「とりあえず」「まあ」。数字が動くのは、この変化の数か月後だった。指標が悪化してから対策を始める組織が、いつも手遅れになる理由がここにある。

課長の中村は、辞めた部下の引き継ぎ資料づくりに1週間を費やした。残ったメンバーには「ありがとう、助かってる」と声をかけ続けた。十分に手を尽くしたつもりだった。それから3ヶ月後、次に辞表を出したのは、いつも一番"大丈夫そう"に見えていた人だった。

前年より賞与を積んだ。その翌週に退職届が2通届いた。しかも1人は、上期の面談で「特に不満はありません」と答えていた社員でした。なぜ気づけなかったのか——気づけなかったのには理由があります。辞めると決めた部下には、支給日までそぶりを見せない動機が働いています。

10月1日、下半期のキックオフで新体制が発表される。方針が示され、担当が変わり、全員が拍手して解散する。ところが11月になっても現場の動きは上半期のままで、12月には「結局あれは何だったのか」という空気が漂う。毎年これを繰り返している会社と、そうでない会社の差は、10月ではなく8月の過ごし方にあった。

同じ規模、同じ業種、同じように全社朝礼をやっている二社。片方では社長の考えが現場の判断に現れ、もう片方では朝礼の内容が翌週には誰の口にも上らない。伝達の回数でも、社長の話し方の巧拙でもなかった。差がついていたのは、社長の言葉が現場に届くまでのあいだに、ある変換が挟まっているかどうかだった。