「飲み会に行きたくない」部下の本音|強制しない関係づくり
「今日、飲みに行かない?」——その一言に「はい」と答える部下が、本当はどんな気持ちでいるか考えたことがあるだろうか。断れる雰囲気がないから仕方なく参加する。その沈黙が、離職やメンタル不調という形で組織にじわじわとリスクをもたらす。飲み会に代わる5つの選択肢。
特集シリーズ

「今日、飲みに行かない?」
「行きたくない」理由は一つではない
「飲み会に行きたくない」と聞くと、「付き合いが悪い」「チームワークを大事にしていない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、その理由は実に多様です。一つの理由だけで片づけてしまうと、部下の本音を見誤ってしまいます。
理由1:時間の使い方に対する価値観の違い
「仕事が終わったら自分の時間を大切にしたい」——これは、わがままではなく、一つの価値観です。
副業やスキルアップの学習、家族との時間、趣味の活動。就業時間外の時間に何を充てるかは、本来その人自身が決めることです。
特に若い世代では、「ワークライフバランス」が単なる流行語ではなく、仕事選びの判断基準になっています。飲み会に参加しないことは、チームへの貢献意欲が低いこととイコールではありません。
理由2:体質やライフスタイルの事情
お酒が飲めない、あるいは飲まない選択をしている人は少なくありません。アルコールに弱い体質の人にとって、2時間も3時間も居酒屋で過ごすことは、楽しさよりも苦痛のほうが大きい場合があります。
また、育児や介護の都合で夜の予定が取れない人、通勤時間が長く終電を気にしなければならない人、健康上の理由で食事制限がある人など、参加したくてもできない事情を抱えている人もいます。
しかし、こうした事情は周囲からは見えにくく、「付き合いが悪い」というレッテルを貼られがちです。
理由3:「素の自分」を見せたくない
飲み会では、仕事中とは異なるコミュニケーションが求められます。プライベートな話題、砕けた冗談、距離の近いやり取り。
これを楽しいと感じる人もいれば、苦痛だと感じる人もいます。
自分のプライベートを話すのが苦手な人、大人数の場が得意でない人、仕事とプライベートを明確に分けたい人にとって、飲み会は「リラックスの場」ではなく「もう一つの仕事」になっているのです。
理由4:世代による「当たり前」の違い
上司世代にとって飲み会は「仕事の延長」として当然のものでした。先輩に連れて行ってもらい、仕事の裏話を聞き、自分も後輩を連れていく。そのサイクルの中でキャリアを築いてきた経験があります。
一方、若手世代にとっては、飲み会は数あるコミュニケーション手段の一つに過ぎません。オンラインでの交流、少人数でのランチ、チャットでの雑談——同じ目的を果たす手段は他にもあると考えています。
この「当たり前」の違いが、お互いの不満を生んでいます。上司は「なぜ来ないのか」と疑問に思い、部下は「なぜ強制されるのか」と窮屈に感じる。どちらの感覚も、それぞれの時代背景の中では自然なものです。
Section 1 完了 → Section 2目次を表示 ▼20%
「強制」がもたらす3つのリスク
「いや、うちは強制してないよ。誘っているだけだから」
そう思った方もいるかもしれません。しかし、上司と部下の関係において、「誘い」が実質的に「強制」として機能してしまうことは珍しくありません。
断れば評価に響くのではないか。空気を読めない人だと思われるのではないか。次から声をかけてもらえなくなるのではないか——。
部下がこうした不安を感じている時点で、それは「強制」と変わりません。
リスク1:信頼関係の毀損
本来、飲み会はチームの絆を深めるためのものです。しかし、参加が実質的に強制されている場合、逆に信頼関係を壊す要因になります。
「自分の気持ちを尊重してもらえない」と感じた部下は、上司への信頼を少しずつ失っていきます。表面上は笑顔で参加していても、心の距離は確実に広がっているのです。
リスク2:多様性の排除
お酒が飲めない人、夜の外出が難しい人、大勢の場が苦手な人——飲み会を重視する文化は、こうした人たちを暗黙のうちに排除しています。
「飲み会に来る人」と「来ない人」の間に見えない壁ができ、重要な情報が飲み会の場でだけ共有される。こうした状況は、チーム内の不公平感を助長します。
リスク3:離職の引き金
「飲み会の強制」は、それ単体では転職理由にならないかもしれません。しかし、「自分の価値観が尊重されない職場」という認識は、他の不満と結びついて離職の引き金になり得ます。
「飲み会に行きたくない」と言えない環境は、「意見を言えない環境」の象徴でもあります。その息苦しさが積み重なった結果、ある日突然「辞めます」という申し出につながるのです。
組織のコミュニケーション、うまくいっていますか?
無料トライアルで、AIカウンセラーの効果をお確かめください。
Section 2 完了 → Section 3目次を表示 ▼40%
飲み会に代わるコミュニケーション方法5選
飲み会を否定する必要はありません。参加したい人が自由に参加できる飲み会は、引き続きチームの交流手段として有効です。
大切なのは、飲み会だけに頼らない、多様なコミュニケーションの選択肢を用意することです。
方法1:ランチミーティング
就業時間内に行えるため、時間的な負担が少なく、参加のハードルが低いのが特徴です。30分から1時間のランチタイムを使って、仕事の話をしつつ、お互いの近況も自然に共有できます。
お酒が飲めない人、夜の予定がある人も気軽に参加できるため、より多くのメンバーが関われる場になります。
方法2:少人数でのコーヒーチャット
2〜3人の少人数で、15〜20分程度の短い時間を設けてコーヒーを飲みながら雑談する。オンラインでも対面でも実施できます。
大人数の場が苦手な人でも、少人数なら自分のペースで話しやすくなります。思考特性的に「じっくり一対一で話すほうが本音を出しやすい」タイプの部下には、飲み会よりもはるかに効果的なコミュニケーション手段です。
方法3:チームでの体験型イベント
ボードゲーム大会、ウォーキングイベント、料理教室、ボランティア活動など。「一緒に何かをする」という共通体験は、お酒がなくても強い絆を生みます。
特に、仕事とは異なる場面でお互いの意外な一面を発見できるため、相互理解が深まります。
方法4:オンライン雑談タイムの設定
リモートワーク環境では、意図的に「雑談の場」を作ることが有効です。毎朝15分だけ雑談する時間を設けたり、週1回「仕事の話禁止」のオンラインミーティングを開いたりする企業も増えています。
カメラオフOK、途中参加・途中退出OKにすると、参加のハードルがさらに下がります。
方法5:思考特性の共有ワークショップ
チームメンバーそれぞれの思考特性を共有し合うワークショップを開催するのも有効です。
「自分はこういうときにストレスを感じる」「こういう伝え方をしてもらえるとありがたい」——こうした情報をお互いに知ることで、日常のコミュニケーションの質が向上します。
飲み会で3時間かけて得られる相互理解を、1時間のワークショップで実現できる場合もあります。AIを活用した対話型の診断ツールを使えば、メンバー一人ひとりの思考特性を客観的に可視化し、チームとしての関わり方のヒントを得ることも可能です。
Section 3 完了 → Section 4目次を表示 ▼60%
「飲み会に行きたくない」と言える関係が、本当のチームワーク
ここまで読んで、「飲み会をやめろということか」と感じた方もいるかもしれません。
そうではありません。飲み会に価値を感じる人がいることも、飲み会で実際に関係が深まった経験があることも否定しません。
伝えたいのは、「行きたくない」と言える関係こそが、本当のチームワークの土台であるということです。
飲み会を断っても評価に影響しない。参加しなくても重要な情報から排除されない。自分の価値観を正直に伝えても受け入れてもらえる——。
そのような環境があって初めて、「今日は行きたいから行く」という自発的な参加が生まれます。そして、自発的な参加から生まれるコミュニケーションこそ、本当の意味でチームを強くするのです。
Section 4 完了 → Section 5目次を表示 ▼80%
まとめ
「飲み会に行きたくない」という部下の声は、単なるわがままではありません。その裏には、時間の価値観、体質やライフスタイル、コミュニケーションの好み、世代による「当たり前」の違いなど、さまざまな理由があります。
大切なのは、飲み会の是非を議論することではなく、チームのコミュニケーションを飲み会だけに頼らない仕組みを作ることです。
- ランチミーティングやコーヒーチャットなど、多様な選択肢を用意する
- 参加・不参加が評価に影響しない文化を明確にする
- メンバーそれぞれの思考特性やコミュニケーションの好みを理解し合う
一人ひとりの「違い」を尊重し、それぞれに合ったコミュニケーション手段を提供できるチームは、飲み会の有無に関わらず強い絆で結ばれます。
「飲みに行こう」ではなく、「どうしたらもっと話せるかな」。
その問いかけの変化が、チームの関係性を大きく変えていくはずです。
あわせて読みたい
「伝わらない」を変える第一歩を
AIカウンセラー O2 CONNECTIVEは、一人ひとりの思考特性に合わせた
コミュニケーションの改善をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
関連記事

中途社員の「前職では〜」を嫌がる組織が、実は一番損をしている

異動の辞令を出す側が見落としている「最初の2週間」の重み
